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ヒューグラントとの共通点

気を抜くと右目と左目が違う方向を向いてしまう。
ぼくは子供の頃から"斜視"という目の病気を持っている。
会話している相手に「どこ見てるの?」と聞かれて「いや、これは斜視っていって一応そっちを見ているんだけど、、、」といちいち説明を入れなければいけないので、厄介だ。

目というのは両目で1つの対象を見ることで距離を測っているらしく、斜視の状態だと対象との距離感が掴みにくいらしい。
美大受験でデッサンをしなければいけなかったぼくは、距離感が掴めないせいでデッサンに影響が出ているのではないかと、斜視を治す手術をした。
手術後一日は目の包帯を外す事ができず、視覚を奪われた状態で一日を過ごした。目が見えないので人と話す時に、全ての意識を耳に集中させる。耳で看護師さんの顔を想像し、表情も想像する(実際の顔は想像した顔と全然違った)。
でも、僕はもともと目が見えるから声から表情を想像するけど、最初から目が見えない人は声から何を想像するのだろう。どちらにせよ耳が異常に発達するのは間違いないだろうな....などと、一日中謎の分析をして暇を潰した。

結局、デッサンが上手くなったかどうかはいまだに分からないうえに、1〜2年で斜視は戻ってしまった。
術後、斜視の症状が軽くなった期間は自分のアイデンティティを失ったような感覚さえあった。そして斜視が戻って安心している自分がいた。

それもそのハズ。
ぼくは斜視とは一生の付き合いになると思っていたので斜視でカッコいい有名人をネットで探したりして、長年かけて自分の中での斜視のイメージを上げまくっていたからだ。
窪塚洋介とか山下智久とかも斜視だ。ハリウッドだとヒューグラントも斜視だ。ヒューグラントはぼくが大好きな"ノッティングヒルの恋人"の主演だ。
ネットによると斜視はアンニュイで何を考えているか分からないようなミステリアスな雰囲気が出るらしい。

最近になって苦手な角度があることも分かった。左斜め前方向だけ、目線を合わせるのが難しいのだ。
目線が合わないことに気が散って話に集中できないことが多々あったのでこれからは、姿勢を変えて左斜め前を見なくて済むようにすればいい。
31歳にしてこのことに気づけたのは驚きだったし、妙な感動があった。

気持ちの面でも、角度の面でも、年々斜視との付き合い方が上手くなってきているので、この調子で斜視とは仲良くやっていこうと思う。

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